2020年2月14日金曜日

これからの「在り方」①-2020寒修行を振り返って

 昨年暮れより、中国で猛威を振るっていた新型ウイルスが、既に日本に上陸していたことが、昨日ついに誰の目にも明白なものになった。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200213/k10012284621000.html

 これに先立つ先月、信徒サイトを見て唖然としてしまい、思わずこんな返信をしてしまったのは、フォロワーさんだったらご存知の事と思う。

https://twitter.com/NamelessBean/status/1222487528730550272

 詳細は差し控えるが、当時、件の1/31付け信徒サイトの冬期感染症への注意を促す記事が、インフルエンザ等既存の感染症のみを想定していたものだった事(現在は2/7付け第二報となり、新型ウイルスを想定した内容に更新されている)から、一言申し上げさせて頂いた次第。

 実は、非常に危険だったのではないか…。真如苑の発祥は開祖霊祖が12/28に運慶一刀三礼の作と口伝される不動明王像を迎え、三が日が明けて2/3の節分までの寒三十日の修行を以て、その嚆矢としている。それにならい12月を「出発の月」とし、1/20~2/8のこの時期を「立教の原点」とし、真如苑では毎年寒修行が行われている

 この真如苑の現在の寒修行の期間は丁度、中国の旧正月、春節を含むものになっており、期間中は聖地親苑のある立川市を、アジアを含む様々な地域からの海外教徒も頻繁に訪れている。

  発生地、中国・武漢での異常は昨年暮れから既に報道されており、春節の時期は長期休暇による里帰りや旅行など、多くの人々の国際的な長距離の移動がある事から、この新型ウイルスの世界的大流行の引き金になる事が、年初から明白に予想されていたにも関わらず、件のウイルスの、不顕性感染や2週間に及ぶ長期の潜伏期間、肺の奥に病巣を作るなど、既存の感染症と比較して発見しにくい特性、WHOを始めとして感染への国際的警戒態勢へのコンセンサスの乱れ、当初既存の感染症と比較して毒性が比較的低く、専門家の警戒心が喚起されにくい等の諸要因から国際的感染を許す結果となり、この煽りと(おそらく発生国の情報発信への懐疑バイアスから)日本においては不徹底な水際対策と初動の遅れから、現在、国内において既にヒトヒト感染が進んで居る状況となっている。感染拡大が新たな段階に入った事を認めざるを得ない。

 真如苑に限らず、多くの宗教における法儀や法会というものは、

①可能な限り多くの人々を一カ所に集め、
②揃って聖句、声明、読経、歌、詠唱などを行い

場を荘厳していくことは昨年の東京ドームのミサなどを観ればよく理解される事と思う。


 感染症の観点からは上記①②はそれぞれ

①濃厚接触、あるいはそれに近い状況(接触感染)
②大きな呼吸(飛沫感染、空気感染)

のリスクが想定できると思う。真如苑では概ね、公的機関の発信に沿って、教徒の自主性によって教団活動への参加の可否を判断するよう広報されていると同時に、苑主代表より寒修行中の1/24付け瑞教にて「三大祭(それぞれ3/28、5/9、11/3)と済摂会を報謝実践と帰苑結集の目標に」「家庭集会(信徒の家庭などプライヴェートな空間で行われる小規模な会合)の充実」が打ち出されているが、未知の新型ウイルスが猛威を振るう世相に、元々法会自体が持つ上記の感染症リスクを想定した時、これらを旧来のまま実施する事は、どう考えても無理がある。

 現状、実施できそうな解決策は2点
親苑を含む、別院級精舎への団体参拝の禁止、教徒を大多数に一カ所に参集させる取り組みを止め、各所在地における依処(教団施設)での分散した取組みに限定する。件のウイルスの国際的流行が、春節の大移動によって引き起こされた事を考慮し、教苑活動自体が更なる流行の媒体となる事は絶対に回避しなければならない。
家庭集会へのネット活用
比較的見知った顏同士とはいえ、感染症対応において個人のプライベートな空間は最後の砦とも言える。持病があったり、介護を必要とする高齢者、乳幼児が同居している居宅に、普段より多くの人を招き、新型ウイルスを持ち込んでしまう愚は避けなければならない。プライヴァシーを安全に保てるネットコミュニケーションアプリを最大限活用し、リアルタイムなつながりそのものを最大限維持する事に取り組むべき。

 地球温暖化・気候変動の問題が叫ばれて久しいが、その影響の一つとして、感染症の拡大が懸念されている。この様な感染症の大流行が今後もまた起こりかねない事を考えると、21世紀の宗教における参集の新たな在り方を探るべき時に来ているのではないだろうか。真如苑が普遍宗教を目指すなら、避けては通れないテーマだろう。
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/pamph_infection/full.pdf

                      南無真如